高気密・高断熱の住宅の疑問 その1

 

インターネットなどを閲覧すると高気密・高断熱のメリットとデメリットというような記事を見かけます。
さて、どんなことが書いてあるのか気になりますね!

  • 息苦しい
  • シックハウスやアレルギーが心配
  • 木のぬくもりを感じない
  • 夏が暑い
  • 喉が渇く(冬場)
  • 一人が風邪をひくとみんなに移しそう
  • 廻りの音が聞こえない
  • 住宅の単価が上がる

などを見かけました。

確かにデメリットだと思うものもありますが、きちんと計画された高気密・高断熱の家には当てはまらないものもあります。

私が思う最大のデメリットは!初期投資(住宅の単価)が高くなることです。

このデメリットは高性能住宅の悩みの一つだと思います。

高断熱にするために高性能の断熱材を使用し、空気を遮断するための材料や手間(工事費)がかかります。窓(サッシ)にしても、良いものを使わないと部分結露や気密性に影響します。

この単価が上がることを初期投資と言いましたが、必ず元が取れるはずです。

電気料金は短期間では上がったり下がったりを繰り返していますが、長期的に見れば安くなっていくことはありません。

人が暮らす上で電気は必ず消費します。

原油も限りある資源である限り値下がりしてしまうことはないでしょう。

高気密・高断熱の家のランニングコスト(光熱費)は安くなります。

中、長期的には光熱費の削減につながり、10年15年で初期投資分は元が取れるのです。

○息苦しそう

見た目だけで言えば、気密シートの施工中などを見た方はそんな風に思うかもしれません。

仕上がってしまうと通常気密の家と仕上がりに差はありません

高気密にしか出来ない換気計算により、空気の流れを計算により出せるのです。隙間だらけの家では、この計算は成り立ちません。

目に見えない隙間から計算外の空気が室内と室外を行き来します。

換気計算により室内に新鮮な空気を計算通り取り入れているため、息が詰まるような感じはないはずです。

○シックハウスやアレルギーの心配

シックハウスやアレルギーは埃やダニの死骸によるものから、有害化学物質、花粉によるものまでさまざまな原因があります。

高気密・高断熱の住宅にすればすべてが解決されるものではありません。それでも、子どもさんのアトピー性皮膚炎が少なくなったなどを聞きます。

これは、高気密だからできる換気が計算通り機能している事が重要な点だと考えています。

結露のイラスト

24時間換気により、空気が澱むことなく動いていくことで、部屋に埃が溜まりにくくなり、ダニの温床になる埃溜まりが少なくなります。有害化学物質も室内に留まりませんし、花粉も同様です。

高断熱により、結露の発生がなくカビが抑えられ、その家独特の匂いもなくなります。

当社の高気密・高断熱の家は室内に燃焼ガスが発生する、ガスコンロ、石油ストーブなどの熱源は基本的にNGとしています。この燃焼ガスもアレルギーの原因と言われることもあるためです。

正確に計算された高気密・高断熱住宅はシックハウスやアレルギー対策にも有効な工法と考えています。

○木の温もりを感じない

この疑問も【息苦しそう】と同じと考えます。

内装の仕上げの問題ですね。

当社は《鈴木屋木材》という材木屋です。材木屋ならではの家づくりをいつも思いながら仕事をしています。

施主様によっては、木目が怖いと思う人もいますので、施主様の希望によりますが、無垢の材料にはこだわりがあります。

  • 構造躯体には基本的に集成材は使用しない。
  • 内部仕上げもパインの無垢床や、桧の無垢板などを提案させていただいています。

高気密・高断熱だから木の温もりがないと言う事はありません。

 

○夏が暑い

夏は涼しく、冬はあたたかな家なので、室内の熱が外部に漏れていかない様な家が、高気密・高断熱の家です。

締め切った室内に日が差し込むと室内の温度は上昇します。よって、夏に誰もいない家に帰ると暑いのです。

工事中でも真夏は前日の熱が残っていて早朝の涼しい時間帯も非常に暑いです。

しかし、ここで高性能住宅の独特な機能がモノを言います。

日中に家族みんなが外出するときにも、メインのエアコンはスイッチONにしていただきます。

留守にエアコンを点けたままではもったいないと感じるかもしれませんが、建物内の壁(外壁に面していない間仕切壁)の内部には空間があります。この空間内の空気が高温にならないための措置なのです。

この空気が温まるとその面の壁から輻射熱(赤外線)が発せられ、人は室温より暑いと感じます。冬はその逆に寒いと感じるので、部屋の中で過ごす際の快適温度は、個人差がありますが24℃~26℃(湿度の影響もあります)くらいでしょうか?

ですが真夏と真冬にこの室温では夏は暑く、冬は寒いですよね?

このように感じる原因が壁からの輻射熱によるものです。この輻射熱自体を24℃~26℃にしておくとこの温度で快適に過ごすことが出来るのです。

そのために、誰もいない室内でもエアコンを点けておくと言う事です。エアコンはいつもゆっくりと動き続けているため、電気代も安く済みます

エアコンは全力運転中が一番電気を使用します。高気密・高断熱(高性能住宅)ならではの機能と言えるでしょう。

○喉が渇く

夏はエアコンにより除湿され湿度が下がりますが、高湿度な外気を取り入れているので、夏はあまり気になりません。

冬は外気の温度が低いために、湿度も下がります。

室内はエアコンにより室温が上がり、湿度は相対的に外気よりも下がってしまいます。このため喉が渇くと言う事です。

それでも、結露がない高気密・高断熱の家では湿気は結露にならず、空気中に残っています。

【喉が渇く】というのは、室温が高く保たれているために相対湿度が下がるためでしょう。

過度の加湿は結露の原因になりますが、冬は加湿器を使用して、適度な湿度を維持してください。

 

○一人が風邪をひくとみんなに移しそう

計画された換気により居室には必ず24時間換気システムの吸気口があり、ウイルスを伴った空気は直接、吸気口に吸い込まれてゆきます。

その為、居室の空気は廊下や室外に向かって行く事は基本的にはありません。

気密が良い、悪いは風邪ウイルスの蔓延には関係はないと考えます。

○廻りの音が聞こえない

外部の音は聞こえにくくなります。

音は空気によって伝播してゆきます。その空気を外部と内部で遮断していますので、周りの音は聞こえにくくなるのと、室内の音も周りに響かなくなります。

これをデメリット考えるかどうかは、個人差ではないでしょうか?

 

  • 高気密・高断熱の家は、初期投資が高くなる。
  • 高気密・高断熱の家は、ランニングコストが安い
  • 高気密・高断熱の家は、人の身体に優しい

 

私なりの考えですが、参考になりましたでしょうか?